絵画の基本要因は構造と色彩である。構造は奥行きとしてのイリュージョンと二次元としての平面との空間の関係であるし、色彩は滲み通ってくる味や匂いのように自然から身体への感覚として流れ込んでくる感情の強度である。絵画のように色彩そのものの写真を撮影したい。写真としての色彩を所有したいと言う欲望が最初にあった。モチーフとしての対象が存在しなければ成立しない写真というメディアは絵画とは似て非なるものである。その対象の存在を不在にすること。対象を色彩存在に還元してしまうこと。
ベラスケスの王女マルガリータの肖像画は瞳を止めることで、角膜から対象までの凹状の空間を描いている。人間は瞳を止めていると言っても、長い間、対象を見つめることは出来ない。瞳は常に細かい動きを繰り返している。
絵画が身体の流れで描くように、瞳の流れを身体のように使う写真を撮影すること。レンズによる「無意識の視覚」の走査力による画像の成立は「かつて見たことがない」というイメージの異界は、外側からの「風景の感情」を現出しているように見えることだろう。
TA
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